そこに広がっているのは、夜の帳の中、シーンとした完全な静寂に包まれた礼拝所の長ベンチたちやフィオーリア以上に身動きもしないフィオーレ女神の像だけ。
もちろん、オイラの魔法を使って、そういったもの
Dream beauty pro 脫毛を動かせるが、動かしても特に楽しくもないし、気晴らしにもならない。
あ~あ・・・・・・
なにかないのかな?
退屈だ! 退屈だ! 退屈だ!
こんなときには、いつもオイラのそばにいて、話し相手になってくれるのはシルフさん。
「チェッ! シルフさんにあんなことを頼むんじゃなかったな」
オイラは小さく舌打ちする(つもり)。
このところ、掃除道具入れを荒らすヤカラが町に出没しているので、数日前からオイラはシルフさんに頼んで、夜の間、町を見回ってもらっているのだ。
でも、まだ全然、手がかりのようなものをつかめないみたいで、いつも明け方、声に疲労を滲ませて神殿に戻ってくる。
「ただいま・・・・・・」
「お帰り。ご苦労様」
「今日も空振りだった・・・・・・」
それがこのところのオイラたちの朝の挨拶だった。
ところで、シルフさんは下位の風の精霊であり、上位の精霊のジンなどと違って、本来ならだれも話したりできないはずなのだが、なぜかオイラはシルフさんと話すことができる。
たとえ、ジンが相手だったとしても、精霊使いの素質を持っていなければ、話をすることすらできないというのに・・・・・・
おそらく、オイラが自我に目覚めたあのご主人の実験で、一緒に金色の煙を浴びたせいなんじゃないかと、オイラは睨んでいるのだが、本当のところはどうなのだろう?
あの時、オイラやシルフさんだけでなく、机だとか小屋の壁だとかも、煙を浴びているはずだから、オイラと意思疎通が図れてもいいはずなんだ。だけど、オイラが今まで何度となく呼びかけても返事すらない。まったくの沈黙。
もしかして、なにかしゃべれない原因でもあるのかな?
それとも、彼らはオイラやシルフさんと違って、あのとき生きていなかったから、金色の煙を浴びても意味がなかったとか?