一時間ほど前からずっと、隣の姉貴の部屋から壁越しに女たちの騒いでいる声が響いてきている。今日の部活帰り、姉貴が仲の良い部員たちを家に招いたらしい。
だってぇ やっぱり・・・・・・
これって、そうだよね。
え~ そうかなぁ
う、うるさい。こんな
國際化妝證書課程状態じゃ、集中して今日買ってきたマンガ読めないじゃねぇか!
今日の発売日を以前から楽しみにしていたのに。
ベッドに寝っ転がって、転々としながら開いたページに集中しようとするのだが、無理な話だった。隣の部屋のかしましい女たちの甲高い声が耳へ勝手に飛び込んでくるばかり。なら、聞こえないように手で耳をふさいだら、今度はコミックスのページをめくれないし。
――先輩だって、そう思うよね。
――違うって、そういうんじゃあなくて。
――五組の田中くんが・・・・・・
よっぽど、壁をどんどん叩いて姉貴たちにうるさいって怒鳴ってやろうかと思ったけど、あいにく、壁はベッドの反対側。それに、姉貴の
抗衰老方法お客が来ているときに騒いだりなんかしたら、後でえらい目にあうのは確実だろう。あの手加減ってことを知らない暴力女のことだから。
「はぁ~」
盛大にため息をついて、我慢するしかないのだった。
とはいえ、自分の部屋にこもって、隣からの騒音を我慢することはできても、体の中から湧きあがってくる生理的な欲求まではこらえきれるものなんかではなくて。
俺はベッドから体を起こし、素足にスリッパをひっかけながら、二階の廊下へでた。
「でさ、隣の席の男子の視線がうざいのよ」
「ああ、奥村先輩のことだぁ」
「そうそう、なんかいつも女子の方を見てくるのよねぇ」
廊下に女たちの声が響いてくる。俺の部屋よりも一段とうるさい。
顔をしかめて、抗議の意味も込め大きな足音を立てて、すぐそばの階段を下りて行った。すかさず、背後から姉貴の声が飛んでくる。